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コラム

相続における株式の評価の基本

2017.8.28
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家族や親族が亡くなった場合に行われる相続には、一定の控除が定められており、それを超える部分に対しては「相続税」が課税されます。

しかし、現金や預金などの現金資産であれば計算も簡単ですが、株式や不動産、債権などでは実際の価値をどう評価して良いか困ってしまうこともあります。特に株式には定価がなく、資産として評価するには一定の評価基準によって行わなくてはいけません。相続税における株式資産の評価方法について紹介します。

まず株式には「上場株式」と「非上場株式」があることを理解して


日本には株式会社が100万社以上あります。株式会社とは株式を発行することで、資金調達し事業を行う会社のことで、簡単に説明すると株式を売却することで企業に事業資金を提供して貰うのです。この株式ですが大きく2種類に分けられています。

  • 上場株式(公開株式)
  • 非上場部式(未公開株式)

上場株式(公開株式)とは?

上場株式とは「証券取引所」にて扱われる一部の株式のことで、日本では約3500社の株式が東証1部、2部、マザーズ、JASDAQ…などの市場で取引されています。このように証券取引所で取引される会社は、基本点に規模が大きく社会的に認知された会社であり、特に東証1部の企業には大企業が多く登録されています。

上場株式は証券取引所の営業時間内で自由に売買することが可能で、売買状況によって価格にも変動が見られます。上場会社の情報は、日本取引所グループのウェブサイトで確認することができます。

非上場株式(未公開株式)とは?

非上場企業とは証券取引所で株式を取り扱っていない会社のことで、日本の株式会社の大部分は非上場企業です。

非上場企業の株式は市場で売買できないことから、「創業者」「経営者」「経営者の親族」「ビジネスパートナー」などの協力者が保有するケースが多くなります。最近では将来性のある企業に対して、投資会社(投資ファンド)が非上場株を購入し、会社を育ててから売却するような取引も活発化しています。

このように非上場株は証券取引所で取引されておらず、日々の価格が設定されておりません。したがって購入するには保有者との交渉で価格を決めるのが一般的で、相続時においては評価をつけるのが難しくなる要因になります。

相続時における上場株式の評価方法

上場株式は証券取引所で休日以外は取引されていることから、相続による評価設定も難しいものではありません。

上場株式の評価基準

上場株式を評価するにあたっては以下の4つの基準が大事になります。

  • 課税時期の終値
  • 課税時期の属する月の毎日の終値の平均額
  • 課税時期の属する前月の毎日の終値の平均額
  • 課税時期の属する前々月の毎日の終値の平均額

被相続人亡くなった日を「課税時期」と言いますが、基本的には課税時期の終値で上場株式の価値は評価されます。例えば10月10日に亡くなったケースでは、10月10日の証券取引所での終値が評価額となります。

ただし、株式には相場によって変動が激しいこともあるので、「課税時期の属する月」、「課税時期の属する前月の月」「課税時期の属する前々月の月」の終値の平均額と比較して、最も少ない額で評価しても良いことになっています。

例えばZ社の株を5000株相続する場合、亡くなった日の終値は1500円でした。そのままの評価では750万円(5000円×1500円)となりますが、前月の終値の平均では1600円、前々月の平均は1450円です。このようなケースでは1450円が評価額となり、725万円(5000円×1450円)が評価額になります


 

ここまでは上場株式の評価方法について確認をしました。上場株式を評価するにあたっては課税時期被相続人が亡くなった日)がポイントとなります。

それでは市場で取引がされていない非上場株式の評価はどのように行えばよいのでしょうか?非上場株式の評価方法を見ていきましょう。

相続時における非上場株式の評価方法

取引市場のない非上場株式を評価するには以下の4つの評価方法があります。

(1)類似業種比準方式(るいじぎょうしゅひじゅんほうしき)

上場企業の中から類似している会社の株価を基準として、配当、利益、純資産の要素から評価額を算出する方式です。

(2)純資産価格方式(じゅんしさんかかくほうしき)

会社の純資産を相続税評価として算出し、その額を発行済み株式で割ることで1株の評価額を算出する方式です。

(3)併用方式(へいようほうしき)

類似業種比準方と純資産価格方式の両方を併用して算出する方式です。

(4)配当還元方式(はいとうかんげんほうしき)

今まで説明した3つの評価方法は原則的評価ですが、「配当還元方式」は特例的評価方式です。

多くの非上場企業の株式では、一定の人(創業者及び同族)が多くの株式を保有しています。これを「同族株主」と呼びますが、同族株主以外の人が非上場株式を保有するケースでは、特例的に配当額金額(直前2期間)を参考に評価額を決める配当還元方式が適用できます。

非上場株式の評価方法の選び方

非上場株式の評価方式の選定には基準が定められています。

同族株主等の者

大会社:類似業種比準方式及び純資産価格方式の少ない方

中会社:併用方式及び純資産価格方式の少ない方

子会社:純資産価格方式及び併用方式の少ない方

注)会社規模の判定は業種により規定に違いがあるので、税理士や税務署に確認するようにしてください。

同族株主以外のもの

・配当還元方式

同族株主とは個人や親族などの同族で、株式を30%以上保有しているグループのことです。

例えばZ社の株式をAさん一族が40%、Bさん一族が30%、Cさん一族が25%保有しているケースではAさん一族とBさん一族が同族株主となります。ただし、「50%基準」があり、Aさんの同族グループで過半数(50%超)の株式を保有しているケースでは、Bさん一族が30%以上の保有をしていても同族株主はAさん一族のみになります。

非上場株式の評価は難しいので専門家に相談すること

上場株式は証券取引所の過去の価格を見ることで、課税時期の評価を見つけることは簡単で、また検索することで数か月の値動きを知ることも可能です。

しかし非上場企業では会社の規模の判断から、様々な計算が必要であり、専門家に相談することが重要なポイントになります。安易な判断は行わないで税理士や会計士などとよく相談するようにしましょう。

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