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コラム

相続人が持つ3つの選択肢~単純承認、限定承認、相続放棄(2)

2017.11.29
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前回の記事でも説明したとおり、相続発生時に相続人には3つの選択肢があります。

前回は「単純承認」について見てみました。今回は「限定承認(げんていしょうにん)」について詳しく確認をしていきましょう。

限定承認(げんていしょうにん)について

単純承認が被相続人(故人)の遺産をプラスもマイナスも含めて無条件に承継するのに対して、限定承認はプラスの財産の範囲内でマイナスの財産の債務を引き継ぐことができるものです。

この選択をする場合は、相続発生から3か月以内に家庭裁判所を介して所定の手続きを経なければなりません。

以下でメリットとデメリットをまとめ、どういう時に利用すべきか考えてみましょう。

限定承認のメリット

①プラスの遺産の範囲で責任を負えば済む

もし遺産に占めるマイナスの財産の方が多くても、自分の財産から弁済資金の支弁をせずに済みます。

②特定の遺産を確保することができる

後述する相続放棄(そうぞくほうき)をしてしまうと全ての財産を手放さなければなりませんが、限定承認を行えば「先買権」という権利を使って、正当な対価を支払ったうえで自宅など特定の大切な財産を確保することができます。

③自分の子など後順位の相続人となる者に手間をかけさせずに済む

相続放棄をすると自分より後順位の者が相続に巻き込まれることになり、手続きなどで手間をかけさせてしまいます。

限定承認を行うことで、自分より後順位者に手続きの負担をかけずに自分の代で相続手続きを終わらせることができます。

限定承認のデメリット

①期限があり、手続きが煩雑

相続発生から3か月以内に所定の手続きを経なければならず、この手続きの準備が煩雑で非常に手間がかかります。

②相続人全員の合意が必要

限定承認は相続人全員の合意をもって行わなければならず、一人でも反対すると不可能になります。

ただし相続放棄をした者は相続人には含まれないので、この者の同意は不要です。

③みなし譲渡所得税の対象になる

限定承認をすると遺産は相続人に時価で譲渡されたと“みなされる”ため、譲渡所得税の課税対象にされてしまいます。不動産や有価証券などで含み益があると、その利益も課税対象になるので注意が必要です。

この税金は被相続人の債務となるので、相続人が代わって準確定申告をすることによって処理されます。またその債務は、相続税の計算の際に債務控除をすることができます。


以上を考えますと、限定承認を利用するべきケースとして以下のようなケースが考えられます。

限定承認を利用するべきケースとは?

  1. 遺産におけるマイナスの財産がどれくらいあるのか不明な場合
  2. マイナスの遺産の方が多いけれど、相続放棄をせずに自宅など特定の遺産はなんとしても確保したい場合
  3. 相続放棄をすると自分よりも後順位の相続人に手間をかけさせてしまうので、自分の代で手続きを終わらせたい場合

いずれのケースであっても、相続が発生したタイミングで、相続人と相続財産を全て把握し、適切な対処方法を検討していくことが必要となります。

相続発生から3か月という限られた時間内で、全てに対応するのは非常に骨が折れますので、適宜、相続の専門家のサポートを受けながら対応を進めていくことをおすすめします。

さて、次回は相続人が持つ3つの選択肢の3つめ、「相続放棄」について確認をしていきます。ぜひご覧ください。

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