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コラム

「親族の特別寄与料請求制度」について

2018.11.28
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改正相続法のうち、今回ご紹介する「親族の特別寄与料請求制度」は「預貯金の仮払い制度」と同じく、高齢化社会を見据えた改正の1つです。

かつては、被相続人の子供は親を介護するのが一般的でしたが、核家族化や被相続人の高齢化により相続人以外の方が介護をするのは当たり前になってきました。その対策として新設された制度です。

現行制度の問題点は?

現行法には、被相続人の療養看護等をした相続人は、一定の要件が認められたときに、遺産分割において、その貢献を考慮して相続財産の増額を主張できる制度があります(寄与分制度)。

しかし、現行制度は相続人にのみ認められるもので、相続人以外の方が貢献分を主張することはできませんでした。そうなると、夫が先に死亡した妻が、その後も夫の両親の面倒を見てきた場合に、財産を相続する権利がないのは不公平になってしまいます。

今回の改正内容

改正法では、こうした不公平感を是正するために、相続人でない方が介護や看護に貢献し、被相続人の財産の維持・増加について特別の貢献(寄与)をした場合は、これらの方々(特別寄与者)は、相続人に対して金銭(特別寄与料)を請求できるようにしました。

請求は協議によりますが、協議が成立しないときは、相続の開始を知った時から6か月又は相続開始の時から1年以内に家庭裁判所に特別寄与料を請求することができます。

なお、新たな相続法は、原則として公布の日(平成30年7月13日)から1年を超えない範囲内で、政令で定める日から施行されます。

改正のポイント

(1)特別寄与者の範囲

特別寄与者になれるのは、相続人ではない親族です。

この親族には、相続の放棄をした者や相続人の欠格事由に該当する者・排除された者(相続権を失った者)は除かれます。なお、民法上の親族とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族を言います。

つまり、親族が対象ですから、事実婚の妻や家政婦などが介護や看病をした場合は、特別寄与者とはなれません。

(2)特定寄与料の上限額

特別寄与者は、相続人に対して金銭請求を行うことになります。

その特別寄与料は、相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができません。なお、遺贈とは、遺言により財産を他人に譲ることを言います。

例えば、生前に被相続人が、相続人や知人など特別寄与者以外の者に、全財産を譲るような遺言書を作成していた場合には、財産の価額から遺贈の価額を控除しきったことになり、特定寄与料の上限額はゼロとなります。

そのため、特別寄与者は特別寄与料を請求できなくなる可能性があります。

(3)特別の寄与とは

特別寄与とは、無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合です。

そうなると、無職で介護をしていた方が、生活費など労働の対価を受取っていた場合には請求できなくなります。また、特別の寄与は、通常期待される貢献を超える必要があり、現行制度である寄与分制度でも、なかなか認められないのが現状です。

今回の制度でも、どこまでの貢献が特別の寄与として認められるかが焦点です。

まとめ

特別寄与の請求権が施行されるまでに、特別の寄与や特別寄与料については協議されることが予想されます。

今後の整備により、相続人以外の親族の苦労が報われることを期待します。しかし、特別寄与料の請求により相続人の相続財産が減ってしまい相続人同士でトラブルが起きることも予想されます。

このようなトラブルを避けるためにも、ご自身の遺言書作成の検討、常日頃から相続人やそれ以外で介護をしている方との話し合いが大切になってくると思います。

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