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コラム

相続を「したことにされる」!?~法定単純承認について

2016.11.21
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相続が発生した場合、相続人は相続財産を相続することができます。そして、被相続人の権利義務を無制限かつ無条件に承継することを単純承認といいます。単純承認を行うと、被相続人のプラス財産(預貯金、不動産等)だけではなく、マイナス財産(借金等)も含めて全ての財産を相続することになります。

一方で、相続したくない財産がある場合等には、限定承認相続放棄を選択することもできます。

限定承認(げんていしょうにん)とは

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限定承認とは、相続人が相続によって得た相続財産を責任の限度として、被相続人の債務及び遺贈を弁済する責任を負う相続の承認をいいます。

限定承認は、プラス財産の範囲内でのみマイナス財産を弁済する責任を負うに過ぎないだけでなく、実際に計算してみてプラス財産の方が多い場合にはそのプラス財産を相続することができるため、相続できる財産がプラス財産の方が多いのかマイナス財産の方が多いのか不明な場合に特に使い勝手の良い制度といえます。しかし、相続人が複数いる場合には、相続人全員が限定承認を行わなければなりません。

相続放棄(そうぞくほうき)とは

相続放棄とは、相続が開始した後に相続人が相続を拒否する意思表示をいいます。

相続放棄をすることで、プラス財産及びマイナス財産を一切相続することはありません。また、限定承認とは違い、相続人が複数人いる場合でも1人1人が個別に相続放棄を選択することができます。なお、相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったものとされます。

しかし、民法に定められている法定単純承認という行為を行ってしまうと「相続をしたことにされてしまう」ため注意が必要です。法定単純承認が成立すると、限定承認や相続放棄をすることができなくなってしまうため、被相続人にマイナス財産が多い場合等は特に気を付ける様にしましょう。

法定単純承認とは

法定単純承認とは、民法第921条に定められている制度で、次に掲げる事由に該当する場合に、相続人は、単純承認をしたものとみなされます。

1 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条(短期賃貸)に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

2 相続人が第915条第1項の期間(熟慮期間)内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

3 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

ここまでで、相続人は「限定承認」、「相続放棄」が選択できること、また、「法定単純承認」というルールがあることがわかったと思います。ここからは、民法に定められている「法定単純承認」に関するキーワードを詳しく解説します。

 

法定単純承認とは、民法第921条に定められている制度で、次に掲げる事由に該当する場合に、相続人は、単純承認をしたものとみなされます。

1.相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条(短期賃貸)に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

2.相続人が第915条第1項の期間(熟慮期間)内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

3.相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

「財産の処分」とは? ※民法921条1号

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相続財産の全部又は一部を処分するということは、相続財産を自分のものとして取り扱う意思があるものと取り扱われるため、法定単純承認に該当し相続を承認したものとみなされます。

相続財産の処分とは、財産の現状又は性質を変更したり、法律上の財産権を変動させたりする行為をいいます。例えば、相続の開始を知った上で、相続財産である不動産等を売却する行為等が該当します。また、不動産等を売却する行為だけでなく、相続財産である家屋等を取り壊した場合等も処分行為に含まれます。

一方で、相続財産の価値を現状のまま維持するために必要な保存行為や相続財産を無償で貸与した場合等は処分行為に当たらず、法定単純承認には該当しません。

例えば、一般常識の範囲内である葬式費用を遺産から支出する行為や軽微な形見分け、支払期限が到来した被相続人の借金等を弁済する行為等は、法定単純承認事由に該当しません。ただし、遺品の全てを持ち帰るような場合等、常識の範囲内である軽微な形見分けとはいえない場合には、隠匿に当たるとして法定単純承認事由になることもあるため注意しておきましょう。

「熟慮期間」経過とは? ※民法921条2号

熟慮期間とは、相続人が相続をするかしないかについて決定するための期間をいいます。

具体的には、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月とされています。この期間を過ぎると、相続人の意思に関わらず相続を承認したものとみなされます。すなわち、熟慮期間中に限定承認又は相続放棄をしなければ、法定単純承認に該当し相続を承認したものとみなされます。従って、相続人限定承認又は相続放棄の手続を行いたい場合には、熟慮期間が経過する前に手続きをしなければいけないため注意が必要です。

ちなみに、自己のために相続の開始があったことを知った時というのは「相続開始の原因である事実」と「自分が法律上の相続人となった事実」の両方を知った時とされています。従って、どちらか一方の事実を知らない期間に熟慮期間がスタートすることはありません。そのため、後順位の相続人は、被相続人が死亡したことを知った上で、先順位の相続人相続放棄をした事実を知った日から熟慮期間がスタートすることになります。

また、借金等があるかどうかを調査中であるというようなケースにおいて、家庭裁判所に申述をすれば、熟慮期間を延期することができます。

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ここまで「財産の処分」と「熟慮期間」について解説してきました。ここからは「相続財産の隠ぺい、消費について」について詳しく解説します。

 

※「法定単純承認(ほうていたんじゅんしょうにん)」とは

法定単純承認とは、民法第921条に定められている制度で、次に掲げる事由に該当する場合に、相続人は、単純承認をしたものとみなされます。

1.相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条(短期賃貸)に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

2.相続人が第915条第1項の期間(熟慮期間)内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

3.相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

相続財産の隠ぺい、消費について ※民法921条3号

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たとえ相続人が限定承認又は相続放棄をしていたとしても、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、私にこれを消費したときは、法定単純承認に該当し相続を承認したものとみなされます。

例えば、被相続人に多額の借金があった場合を考えてみましょう。

被相続人の財産を確認してプラス財産よりマイナス財産の方が多かった場合、相続人は限定承認をするか、相続放棄をしたいと思うはずです。そして、予定通り限定承認又は相続放棄をした元相続人が、実は被相続人の預金等を隠し持っていて、自分のためにその預金等を使ってしまった場合等は法定単純承認に該当してしまいます。そうなると、限定承認又は相続放棄をしたはずのその相続人は単純承認をしたことになるので、被相続人の借金等を請求される可能性が生じてしまうことになり注意が必要です。

また、相続財産目録被相続人の財産の全て若しくは一部をわざと記載しなかったときも法定単純承認に該当します。

一般的に、悪意とは、自分の行為が法律上の効果を生じることを知ったうえで、その行為をしようとする意思をいいます。そして、相続財産目録に記載しなかったときにおける悪意には、「相続債権者を害する意思で」という意味が含まれます。

要は、過失等で書き忘れてしまった場合等、積極的に相続債権者を害する意思が無いと認められる場合は、法定単純承認事由に当たりません。

隠匿後の消費又は悪意による不記載といった行為は、相続債権者に対する重大な背信行為です。そもそも限定承認又は相続放棄の趣旨は、相続債権者よりも相続人の権利を保護することにあります。

従って、上記のような背信行為を行う者の権利まで保護する必要はないため、背信行為を行った者については限定承認又は相続放棄を認めず、法定単純承認に該当することとなっています。

ただし、上記の行為をした場合であっても、先順位である相続人が相続放棄をしたことにより、新たに相続人となった後順位の相続人が相続を承認した後であれば、先順位である相続人は単純承認をしたとはみなされません。

なぜなら、後順位の相続人が相続を承認したことにより、その相続における相続人は後順位である相続人に確定しているからです。

まとめ

限定承認相続放棄は、相続人に認められた「選択する権利」ですが、本記事で紹介したようなルールを知らないとせっかくの権利を行使することができなくなってしまいます。限定承認相続放棄を検討する場合は、通常の相続時以上に、慎重に相続手続きを進める必要があります。相続に詳しい専門家などに相談しながら、ひとつずつ手続きを進めていくのがよいでしょう。

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