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コラム

遺留分に関する民法の特例(1)

2017.10.30
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相続を行う際には遺言書が重要な意味を持ちますが、全ての遺産を遺言通りに執行した場合、残された家族の中には生活に困窮してしまう可能性があります。

そこで法律では相続に対して「遺留分(いりゅうぶん)」を認めることで、全ての遺産が特定の人だけに集中することを防止しています。

この遺留分事業を承継するための相続であっても効力があり、生前の自社株式の贈与などが該当します。しかし、それでは円滑な事業承継に支障が生じる場合もあることから、民法では一定の条件の元、「遺留分に関する民法の特例」を認めています。

円滑な事業承継を行うために

具体的な事例を見てみましょう。


Aさんは若い頃から頑張って働き、従業員が80名の運送会社を経営しています。

しかし、高齢なこともあり、そろそろ事業を長男に継がせて自分は引退することに決めました。そこで長男のBさんに自社株の全て(7,000万円)と、現金3,000万円を生前贈与しました。そしてその1年後にAさんは病気で他界しました。AさんにはBさん以外に子供が2人(Cさん、Dさん)います。


このケースを一般的な相続で考えてみると、Bさんは生前贈与として合計1億円を受け取っています。

生前贈与は相続の遺留分に含まれるので、Cさん、Dさんにも相続の権利が出てきます。また自社株の評価はBさんへ贈与した時点の価格ではなく、Aさんが亡くなった時点(相続開始時点)の価格で評価されるのもポイントです。つまり株の評価が値上がりしていたら、遺産総額も高くなってしまうのです。

Aさんが亡くなった時点で自社株が7,000万円から9,000万円に値上がりしていたケースでの遺留分を計算してみましょう。

(9,000万円+3,000万円)×1/3(3人)×1/2(遺留分)= 2,000万円

つまりBさんは兄弟であるCさん、Dさんに2,000万円ずつ、合計で4,000万円を遺留分として支払わなくてはならないのです。

【特例1】遺留分から生前贈与の自社株を除外できる

前述の例では現金が3,000万円しか贈与されていないにも関わらず、遺留分として4,000万円を支払わなくてはいけません。そうなると株式を譲渡することで支払わなくてはならない事態も起こり、株式が分割され円滑な事業承継に支障が出る場合もあります。

そこで遺留分に関する民法の特例では、生前贈与自社株等を遺留分 から除外できるようになりました。この特例を利用することで、前(先代)の経営者から生前贈与された自社株は遺留分基礎財産の対象にならないことから、株式が流出することを防止できます。

Aさんの例では現金3,000万円だけが遺留分の基礎財産であり、株式については遺留分減殺請求を求めることができなくなります。


ここで説明した特例の内容を「除外合意」と言います。

さて遺留分に関する民法の特例にはもうひとつ、「固定合意」と呼ばれるものがあります。次回の記事で詳しくみていきましょう。

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