相続・遺言のすべてを分かりやすく。
コラム

「相続を放棄する」とはどういうこと?(2)

2018.10.23
文字サイズ:

前回の記事では「相続放棄」の概要とメリット、デメリットを解説しました。

借金(マイナスの財産)を相続しなくてもすむ、というメリットがある一方、相続放棄してしまうとプラスの財産も相続できないという特徴がある制度です。今回の記事では前回の内容を踏まえ、どのようなときに相続放棄をするべきかを考えてみましょう。

どのようなときに相続放棄を選択するべきなのか?

積極的に相続放棄を検討しなければならないのは、被相続人が残した相続財産の構成上、マイナスの財産が大きいことがはっきりしている場合です。

その場合でも、例えば自宅だけは何としても引き継ぎたいなどの事情があるならば、あえて相続を承認し、相続人の固有の財産を充てて故人の債務を弁済するという道を選択することは可能です。

また前回の記事で例として母親のために子が相続放棄をする例を挙げましたが、他にも事業承継などの事案で検討されることがあります。

故人(被相続人)が事業を営んでおり、これを特定の相続人が引き継ぐには事業に必要な財産を漏れなく承継する必要があります。

事業用財産が散逸すると事業の継続ができなくなるからです。

そこで、故人の事業を引き継がない相続人は相続を放棄し、事業を引き継ぐ特定の相続人に事業用財産を集中して承継させるという工夫もできます。

相続人全員が相続放棄したら債権者はどうしたらいい?

相続放棄は各相続人が個々人で選択できるので、誰かが相続放棄をすると他の相続人の取り分が増えますが、借金の負担もまた増えることになります。

ですから、遺産の構成でマイナスの財産の方が大きいことがはっきりしている場合は、相続人全員が相続放棄をすることになるでしょう。

その場合、被相続人の債権者は家庭裁判所に相続財産管理人の選任申立てを行うことができます。

選任された相続財産管理人は相続財産を原資として、債権者に弁済を行います。

複数の債権者がいる場合は、その債権額に応じて按分して返済されることになります。

例えば相続財産が1000万円で、被相続人に対してA社が1000万円、B社も1000万円の債権を持っていた場合、各社が500万円ずつの返済を受けることができますが、残った残債については各社とも回収することができません。

相続財産管理人の選任申立てが行われない場合、遺産は最終的に国庫に入り国のものとなってしまうので、目ぼしい財産がある場合には債権者側の債権回収手段として相続財産管理人の選任申立てを行うようにしましょう。

まとめ

今回は相続放棄の効果やメリット・デメリットについて見てきました。

相続人サイドから見ると、被相続人が残した相続財産の構成上、借金などマイナスの財産方が大きい時には必ず検討すべきものといえます。

マイナスの財産が無い場合でも、特定の相続人に遺産を集中させるための工夫として相続放棄が利用されることもあります。

ただし相続開始から3か月以内に所定の手続きを取らないと相続放棄ができなくなる点に注意しましょう。

被相続人の債権者サイドとしては、相続人に相続放棄をされた場合でも家庭裁判所で相続財産管理人の選任申立てを行うことで債権回収の道が開かれます。

全額の回収は難しいことが多いですが、遺産中に目ぼしい財産がある場合には検討してください。

facebook発信中

相続のバイブルはfacebookページでも、見逃せない相続情報、ぜひ活用したいと評判のセミナー情報などを発信しています。
SNSのみの事例紹介やご相談も発信中。フォローお待ちしています。

相続のバイブルfacebookページ