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コラム

相続税の延納制度の理解を深めよう(2)

2018.7.31
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前回の記事では延納制度の仕組みについて解説しましたが、相続税の延納をするにあたっては追加で「利子税」を払わなければいけません。

今回はこの利子税のポイントをおさえ、また、「特定物納」という制度についても解説していきます。

利子税とは?

例えば、家電製品などを分割払いで購入すると一般的には金利手数料として余計な出費が加わりますが、これと同じようなものが利子税になります。

つまり、相続税の延納をする場合は元本を分割払いにすれば良いだけでなく、支払いが遅れることのペナルティ的な意味合いで追加の税金を取られるということです。

利子税がいくらかかるのかは利子率によりますが、この計算が少し複雑です。

基本的な枠組みのイメージとしては、相続財産に占める不動産の割合が大きくなるほど、「現金を用意しにくい」として最長延納期間が長くなり、利子率も下がる仕組みになっています(負担が軽減します)。

課税相続財産の相続税評価額に占める不動産等の相続税評価額の割合が75%以上、75未満50%以上、50%未満のクラスに分け、かつそれぞれのクラスにおいて不動産等、不動産以外の財産などに分けて利子率を考えていきます。

ただし現在は、昨今の低金利時代を反映して利子税の負担を下げるために調整が入る仕組みになっており、各年の特例基準割合国税庁ウェブサイト内の説明を参照)が7.3%に満たないときは以下の計算式により利子率を算出します。

延納利子税割合(年割合)×延納特例基準割合÷7.3%

※以下の国税庁のページ中部「6延納期間及び延納利子税」にある表を参考にして見てみましょう。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4211.htm

ここでは平成30年1月1日における延納特例基準割合1.6%で計算していますが、この数字に変動があると計算がまた変わってくることに留意して下さい。

例えば、表上段の不動産等の割合が75%以上に相当するケースで、①の動産等に係る延納相続税額について見てみます。

延納利子税割合は5.4%、延納特例基準割合は1.6%として計算すると、5.4%×1.6%÷7.3%=1.18356…となります。

0.1%未満の数字は切り捨てて考えるので、利子率は特例割合として1.1%という数字が適用になります。

実際に延納が必要になったときの利子税の計算はかなり難しいと思いますので、税理士に確認するようにしてください。

特定物納とは?

相続税の支払いが難しいときには、上記で見てきた延納を検討し、それでも納税が難しいときには一定の財産を直接納める「物納」を利用することも可能になります。

延納も難しいことが最初から分かっている場合には初めから物納を検討することもできますが、最初に延納制度を利用した場合に途中で物納制度に切り替えることもできます。

これを「特定物納制度」といい、相続税の申告期限から10年以内であることなど一定の条件があります。

物納への変更が税務署に認められるまでの間は利子税はしっかり取られます。

物納に利用できる財産には縛りがあり、税務署が認める以下のような財産でなければ利用できません。

第一順位:不動産、船舶、国債証券、地方国債証券、上場株式等

第二順位:非上場株式

第三順位:動産

物納は優先順位が上のものから順に活用を検討しなければなりません。

特定物納制度について詳しくはこちらで確認できます。

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/qa/qa/q26.htm

まとめ

今回は相続税の延納制度について見てきました。

どうしても納税資金が用意できない場合に利用できるものですが、担保を取られたり利子税が課税されるなどデメリットがあるので可能な限り利用は避けるべきです。

被相続人となる人は遺族が納税資金に困らないよう、生前に生命保険を活用するなど工夫して納税資金の準備をしておくことが望まれます。

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