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コラム

相続税の現金での納付が困難なときの対策「物納(ぶつのう)」について(1)

2018.8.2
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相続税は金額が大きくなると期限までに納税資金の準備が難しいケースも出てきます。

期限までの納税が難しい場合はまず「延納制度」の利用を検討しなければなりませんが、現預金が極端に少ないなど延納によっても納税が難しい場合は「物納制度」を検討することもできます。

今回は相続税の物納制度について解説します。

相続税の「物納」とは?

「延納」が相続税の納期限を伸ばして分割払いによって納税していくのに対し、「物納」は一定の価値のある財産をそのまま納税財産として国に納める方法です。

相続税の納税は金銭による一括納付が原則であり、延納と同じく物納も例外措置としての扱いのため必ず利用できるわけではありません。

一定の要件をクリアして税務署の許可を取ったうえでなければ利用できず、また物納に利用できるのは国が認めた一定の財産のみとなります。

物納に利用できる財産の間にも優先順位があり、こちらは近年の法改正でルールが一部変更されています。

物納をするための要件とは?

物納制度は以下のような要件をクリアしなければ利用することができません。

  1. 延納制度を利用しても金銭による納付が困難な事情があり、納付を困難とする金額を限度とすること。
  2. 物納に利用する財産については次の項で述べるルールに従うこと。
  3. 国が物納財産として認めない「管理処分不適格財産」(後述)にあたらないこと。
  4. 優先順位が劣る「物納劣後財産」(後述)である場合は他に物納にあてるべき適当な財産がないこと
  5. 相続税の納期限までに物納にかかる手続きとして一定の申請書や関係書類を税務署に提出すること。

物納できる財産、物納できない財産

前項2.として、物納に利用できる財産は以下のものに限定され、優先順位が上のものから利用を検討しなければならないというルールがあります。

<第一順位>

①不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等

②不動産及び上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの

<第二順位>

③非上場株式等

④非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの

<第三順位>

⑤動産


上に挙げる財産であっても、担保に供されている不動産や境界が明らかでない土地、権利の帰属に争いのある不動産など、国が物納財産として認めない「管理処分不適格財産」にあたる場合は物納に利用できません

また、地上権や永小作権などを目的とする賃借権、地役権、入会権などが設定されている土地、事業を休止している法人の株式など、財産としての価値が下がる「物納劣後財産」にあたる財産は、他の財産で適当なものが無い場合に限り利用することができます。

管理処分不適格財産と物納劣後財産について詳しくは、以下の国税庁のサイト「3 管理処分不適格財産及び物納劣後財産」の項で確認できます。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4214.htm

なお、特殊な財産として「特定登録美術品」があり、被相続人が所有していた「美術品の美術館における公開の促進に関する法律」に定める登録美術品で、相続開始時にすでに登録を受けている財産は、上記の優先順位に関わらず物納財産として利用することができます。


順位が定められているとはいえ、物納に使える財産の種類は多く、手続が煩雑になってしまいそうですね。

次回の記事では物納の手続きの流れを確認してみましょう。

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