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コラム

「特別受益」があるときの相続の注意点(3)

2017.10.12
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前回までの記事で、特別受益の概要何が該当するのか、また、時効についての考え方がわかったかと思います。
こちらでは特別受益がある場合の、相続手続きの流れを段階ごとに確認していきましょう。

特別受益がある場合の実際の手続きの流れ

特別受益共同相続人の不公平を是正する制度ですが、その手続きは簡単ではありません。

まず特別受益が認められる相続人に対して、特別受益の存在を主張することが必要になります。中には「昔、まとまったお金の援助を受けたから、その分の相続は遠慮するよ」と言う相続人もいますが、「そんな昔の話は関係ない」と知らぬ顔を決め込む人もいるでしょう。そこで実際に特別受益が認められる手続きを考えてみましょう。

1.まずは特別受益があった証拠を探す

一定の相続人に特別受益がある場合には、その証拠を探すことが重要です。

援助を行った時期には、被相続人預金残高にも変化があるはずです。特に被相続人の預金明細で、大きな引き出しや振り込みを確認することができれば十分な証拠になります。また不動産の登記情報や、証人を探して当時の状況を文章化することも効果的です。

2.話合いで遺産分割協議書を作成

共同相続人で話合いを行うことが大切です。

集めた資料から特別受益額を確定し、「特別受益の持戻し」を行います。持戻し特別受益を相続財産に加えた「みなし相続財産」から算出する相続額のことです。

みなし相続財産を元に各相続人の相続額を決めるのですが、あくまで話し合いなので、法定相続に従う必要はありません。各相続人が納得する方法で、相続額を決めることが重要です。

話合いがまとまると遺産分割協議書を作成し、相続人全員の署名捺印を行うことで作業は終了し、合意内容で相続財産が分配されます。

話合いがまとまらない場合は調停そして裁判へ

話合いでまとまればいのですが、中には強硬に特別受益を認めない相続人も出てきます。

そのようなケースでは家庭裁判所に遺産分割調停を申立てて、その中で特別受益を証明(主張)します。さらに調停がまとまらず不調になった場合には、そのまま裁判となり裁判所の判断を仰ぐことになります。

特別受益を含めた相続を行う際の注意ポイント

特別受益を含めた相続を行うためには、いくつかの注意ポイントがあります。

  • 特別受益の事実を主張しなくては認められない(自動的には認められない
  • 認めない場合のために特別受益一定の証拠を用意する必要がある
  • 持戻し免除に該当する場合特別受益とならない

この中で特に「持戻し免除」には留意する必要があります。

持戻しは特別受益による不公平を是正することですが、もし被相続人それを望まないと意思表示している場合には、持戻しを免除することができます。つまり特別受益がなかったものとして、相続が行われることになります。

持戻し免除の意思の表示には規定がなく、遺言に記載したり、あらかじめ相続人に意思表示したりすることで成立できます。また遺贈による特別受益遺言書によって、意思表示する方がよいでしょう。

特別受益は判断が難しく感情的になりやすい

例えば無職で生活に困っている子が親から援助を受けた場合、それを特別受益と言えるでしょうか?他の兄弟から見れば「親からお金を貰っている」と考えるかもしれませんが、これは生きる上で必要な扶養的な援助なので特別受益には当たりません。

このように「大人になってのお小遣い」と考えると特別受益ですが、「収入がない子供への扶養援助」であれば特別受益にはなりません。見方を変えるだけで判断が変わってくるのです。

このように特別受益の判断は難しく、相続人同士での話合いでは感情的になってまとまらないことが多いようです。そのような際には専門家に相談をして、妥当な判断を得るようにしましょう。

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