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コラム

法的効力が認められる「法定遺言事項」のまとめ

2016.10.11
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法定遺言事項とは、法律上、法的効力が認められている遺言事項をいいます。

原則、遺言には何を書いても問題はありませんが、法定遺言事項以外の遺言内容には法的効力がありません。すなわち、法定遺言事項以外の遺言は、遺言作成者の意思表示的な意味合いを持つだけのものということになります。

法定遺言事項以外の遺言事項は付言事項と呼ばれていて、例えば、「自分の墓に○○を埋めて欲しい」といった自分の希望や、「家族への感謝の気持ち」等様々な内容があります。

法定遺言事項にて指定できる内容

法定されている遺言事項のうち主なものは以下の通りです。

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財産の承継方法、処分方法について

法律により定められている法定相続分とは異なる割合で遺産を分配することを「相続分指定」といいます。遺言により相続分指定を行うことで、相続人の遺留分を侵害しない範囲に限り、被相続人が相続人に対して相続財産を好きなように割り振ることが可能になります。

遺言書に記載された遺産分割方法も、法的に有効な遺言内容といえます。例えば、妻には家屋を、長男には別の土地を相続してもらいたいといった様に、特定の相続人に特定の資産を相続したい場合等には、「遺産分割方法の指定」をしておくことが望ましいでしょう。

相続により財産を相続させることができる相手は法定相続人に限られます。従って、相続人以外の第三者に相続財産を与えたい場合等には「遺贈」を行う必要があります。遺贈とは、遺言により他人に財産を無償で与える行為をいい、法定遺言事項とされています。

以上の方法を利用することによって、被相続人遺言によりご自身の財産の承継方法や処分方法を決めることができます。

相続人の廃除と取消しについて

相続人の廃除とは、被相続人に対する虐待や侮辱等があった場合に、相続人の相続権を拒否することができる制度です。相続人の廃除は、被相続人が生前に手続きを行うことができる他、遺言により行うこともできます。

ちなみに、相続人の廃除が行われた相続人には遺留分がありません。しかし、相続人の廃除が行われた場合には、代襲相続が開始されます。

つまり、相続人の廃除が行われた相続人に子供(直系卑属)がいる場合、その子供に遺留分を請求する権利が生じることとなるため、例えば、長男には相続財産を一切渡したくなく、次男に相続財産を全て渡したいため長男を相続人から廃除したとしても、その長男の子供が遺留分を主張してくる可能性があることの注意が必要です。

また、相続人の廃除を行っていた相続人に対し、事情が変わったことにより、その廃除を取消したい場合には廃除の取消しを行うことも可能です。相続人の廃除と同様、廃除の取消しについても、被相続人が生前に手続きを行うことができる他、遺言により行うこともできます。

婚外子の認知について

婚外子とは、婚姻届を提出していない男女の間に生まれた子をいい、非嫡出子とも呼ばれています。婚外子には相続権がありませんので、婚外子にも相続財産を遺したい場合には婚外子を認知し、婚外子にも相続権を発生させる必要があります。婚外子の認知は生前に行うこともできますが、簡単に言い出せる話ではないという実情もあります。そのため、婚外子の認知も法定遺言事項とされており、遺言により婚外子の認知が行えるようになっています。

ちなみに、認知は男性のみが行う行為となっています。これは、女性は自分で子供を産んでいるため、認知せずとも自分の子供だと分かっている一方で、男性側はもしかしたら自分の子供ではないという可能性が少なからず残っているからです。

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ここまでは法定遺言事項のうち、「財産の承継方法、処分方法」、「相続人の廃除と取消し」、「婚外子の認知」について解説しました。本記事では「未成年の子供の後見人や後見監督人の指定」、「遺言執行者」、「負担付遺贈」について解説していきます。

未成年の子供の後見人や後見監督人の指定について

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後見人とは、親権者のない未成年者や成年被後見人の財産に関する全ての事項で、法定代理人となる者をいいます。親権者が亡くなった場合等に備えて後見人に関する遺言を遺すことで、未成年である子供の後見人を指定することができます。

後見監督人とは、その名の通り、後見人を監督する者をいいます。すなわち、後見人を監督して、後見人が任務を怠ったり、不正な行為を行ったりしない様に監視する役割を担っています。こちらも後見人の指定と同様、法定遺言事項とされています。

ちなみに、未成年後見監督人を選任するかどうかは任意となっており、必ずしも誰かを選ばなければならないわけではありません。そして、人数制限もありませんが、既に後見人になっている者の配偶者・兄弟姉妹等を後見監督人に選任することはできません。

遺言執行者について

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な一定の行為等を行う者をいいます。遺言執行者は、相続が開始すると相続人の代表者となり、財産目録を作成したり、預貯金や不動産等に関する手続きを行ったりできるといった権限を持ちます。相続人間の仲が悪い場合等では、遺産相続の手続きが思う様に進みません。遺産相続手続きをスムーズに行ってほしい場合等には、遺言執行者を指定しておくと良いでしょう。

ちなみに、相続人の廃除や婚外子の認知をする場合には、必ず遺言執行者が必要になります。

遺言執行者の指定方法は、

①自分自身が遺言書遺言執行者を指定する

②第三者に選んでもらう旨を遺言する

③相続人等の利害関係者が家庭裁判所に申立てを行い、遺言執行者を選任してもらう

といった3パターンがあります。遺言執行者として指定された者が、実際に遺言執行者となるかどうかは任意ですから、①の方法で遺言執行者を決める場合には、予め遺言執行者となってもらう旨を承諾してもらう必要があります。

祭祀の承継者について

祭祀とは、神々や祖先を祭ることをいいます。相続について検討する際、まず初めに相続財産の承継方法や処分方法に注目しがちですが、祭祀財産についても同様に検討することをお勧めします。

祭祀財産とは、系譜(家系図)や祭具(位牌・仏壇等)、墳墓(お墓・墓地)をいいます。祭祀財産相続財産には含まれず、相続税の課税対象にはなりません。しかし、その後の管理をし続ける遺族の負担等のトラブル発生件数が年々増加してきています。円滑な相続を行うためにも、祭祀の承継者を遺言で指定することが重要になってきています。

負担付遺贈について

負担付遺贈とは、遺贈者が受遺者に対して、財産をあげる代わりに、受遺者に対して一定の義務を負担してもらう遺贈をいいます。例えば、「遺された妻の面倒を見てもらう代わりに財産を与える」といった内容の他「財産を与える代わりに遺されたペットの面倒を見てもらう」といった内容も遺言により遺すことができます。

受遺者は「遺贈の目的の価値を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行しなければならない」とされているため、貰った財産の範囲を超える以上の部分を負担する必要はありません。従って、負担付遺贈をする場合には、与える財産の価値に見合った内容を遺言として遺す必要があります。

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ここまで見てきたとおり、法定遺言事項には様々なものがあり、ご自身がおかれている状況によっては有効に活用できる内容もあると思います。また、法定遺言事項となっていない事項についても、付言事項を上手く活用することで、円満相続につなげることもできます。

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