相続税の控除に関する記事シリーズの3回目です。
第1回では相続税の基礎控除額と配偶者控除について、第2回では未成年者控除、障害者控除、相次相続控除について解説をしました。
最終回では外国税額控除の概要と各種控除を受ける際の注意点を説明します。それでは見ていきましょう。
被相続人の国外遺産を相続した際の外国税額控除
被相続人が外国に遺産を持っている場合、当該国で相続税を支払い、さらに日本でも相続税が徴収される恐れがあります。そのままでは相続税を二重に支払うことになるので、それを防止する特例措置が外国税額控除です。
外国税額控除が利用できる相続人は、下記の2つの条件を両方とも満たしている相続人です。
- 相続や遺贈によって日本国内の相続財産(遺産)を相続した相続人
- 外国にある相続財産において相続税と同等の税金を当該国にて課税された相続人
第一に日本において相続人であることが必要です。
また外国の遺産を相続する際に、その国の法律による相続税に該当する税金を課税され、支払っていることも条件になります。外国税額控除額の算出方法は以下の2種類のうち少ない額の方になります。
- 外国で納税した税額
- 外国税額控除=日本の相続税額×(外国の相続財産額/日本の相続財産の額)
外国税額控除の例
父親が亡くなり兄と妹の兄弟が相続人となりました。父親には日本国内に6億円の遺産と外国に3億円の遺産がありました。兄は日本国内の遺産3億円と外国遺産3億円を相続し、相続税として日本で6,000万円、外国で6,000万円の相続税を支払いました。妹は日本国内の3億円のみを相続したので6,000万円を相続税として支払いました。
このケースで外国税額控除を計算してみましょう。
- 兄が外国で支払った税額:6,000万円
- 外国税額控除:3,000万円=6,000万円×(3億円/6億円)
この2つを比較すると「兄が外国で支払った税額」の3,000万円の方が少ないので、これが外国税額控除額として、日本で支払った相続税6,000万円から差し引かれることになります。
つまり「6,000万円-3,000万円」で3,000万円の相続税になります。妹は外国の遺産を相続していないので、外国税額控除の適用はなく、6,000万円がそのまま相続税になります。
相続税の外国税額控除の計算は、外国にある遺産の相続税を納付した日の為替(電信売相場:TTS)が基準になるので、為替の変動によっても負担は変わります。
相続税の各種控除は申告しなくては適用されない
相続税には紹介した通り様々な特例控除があります。ただし、基礎控除以外は全て相続税を申告しなくては適用されません。申告すると相続税を課税されてしまうと勘違いする人もいますが、課税されないためにも申告は重要なのです。
控除額を正確に算出するには、素人には難しい面もありますので、税理士などの専門家や税務署に相談して正しい申告を行うようにしましょう。
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