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コラム

平成30年度税制改正~事業承継税制の特例

2018.3.6
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贈与税や相続税の税負担が重いことにより、事業承継が円滑に進んでいないことが社会問題化しています。

そこでスムーズな事業承継への追い風となる期待のもと、平成30年度の税制改正で「事業承継税制」の要件が大幅に緩和されました。詳しく見ていきましょう。

事業承継税制とは?

事業承継税制は、会社の後継者が会社の株を生前贈与や相続により取得した際に、納税を猶予する制度のことです。平成21年度の税制改正によって導入された制度ですが、制約が多く使い勝手が悪い制度でした。

そこで平成30年度税制改正では、中小企業の事業承継を力強く後押しするため、非常に使いやすい効果的な内容に改正がなされました。

事業承継税制改正のポイント

ポイント1:承継パターンの拡大

改正前: 一人の先代経営者から一人の後継者への贈与

改正後: 複数の贈与者から最大3人までの後継者への贈与


改正により、代表者以外のものからの相続や贈与、遺贈による取得分まで、事業承継税制の対象となりました。

中小企業では同族会社株式が先代経営者のみならず、その兄弟姉妹(後継者の叔父や叔母)にまで渡っていることはよくあることです。この改正により複数の株主から後継者への贈与に対応することができるようになるため、事業承継に関する課題を先代経営者の代で解決することが可能になります。

ポイント2:納税猶予の対象となる株式数と納税猶予額の拡大

改正前: 総株式数の2/3に達するまでの株式が対象で、相続税の80%まで猶予(贈与税は100%)

改正後: 全ての株式が対象で、相続税の100%猶予(贈与税は100%)


全ての株式を納税猶予の対象にすることが可能となりました。改正前は相続税は80%までが猶予の対象でしたので、後継者にとっては資金確保の面で大きなメリットとなるでしょう。

ポイント3:雇用確保要件の緩和

改正前: 一定の基準日において、5年間の平均で雇用の8割を維持

改正後: 維持できない理由を記載した書類の提出があれば納税猶予は継続


改正前は5年間の平均で雇用の8割を維持する必要があり、会社の規模によっては数名の退職で雇用確保要件から外れてしまうことがありました。

そこで今回の改正では、雇用確保要件を満たさない場合であっても、その満たせない理由を記載した書類(認定経営革新等支援機関の意見記載が必要です)を都道府県に提出すれば、納税猶予は継続されることになりました。

なお、雇用確保要件を満たせない理由が、経営状況の悪化である場合、または正当なものと認められない場合には、認定経営革新等支援機関から指導又は助言を受け、その内容を書類に記載する必要があります。

まとめ

平成30年度税制改正により、事業承継税制は使いやすい制度となりました。

この制度は10年間に限定した制度(適用時期は平成30年4月1日以降)で、特例承継計画の作成を行ったり指導・助言を受けたりする必要があり、認定経営革新等支援機関(経済産業大臣の認定を受けた税理士、中小企業診断士、金融機関等)の果たす役割が大きくなっています。

制度を上手く活用するためのポイントは、先代経営者の影響力が大きいうちに、信頼できる認定経営革新等支援機関に相談し連携して進めていくことです。

認定経営革新等支援機関は下記のリンクから検索できます。ぜひご利用ください。

経営革新等支援機関(認定支援機関)検索 ※独立行政法人中小企業基盤整備機構のリンクが開きます

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