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コラム

贈与税の非課税枠のまとめ

2017.9.28
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この記事では贈与税関連の非課税枠をまとめていきます。

贈与税分野は若い世代への財産移転を促す目的でいくつかの制度が新設されており、既存の制度と合わせて理解していくことが求められます。

贈与税の基礎控除の非課税枠

贈与税の基礎控除枠年間(1月1日~12月31日)で110万円までが認められます。

注意が必要なのは基礎控除枠の適用は財産を譲る人一人につき110万円まで認められるのではなく、財産を貰い受ける側の人について総額で110万円までということです。

例えばAさんが、Bさんから80万円、Cさんからも80万円貰った場合にはAさんが貰い受けた金額は総額で160万円となり、基礎控除枠の110万円を超えることになるのでAさんには贈与税がかかることになります。

また同一人物が複数回に分けて贈与を行っても、貰い受ける側として年間110万円を超えればやはり贈与税がかかります。

例えば上記の例で、AさんがBさんから6月に80万円を貰っただけでは贈与税はかかりませんが、Bさんがさらに7月にもAさんに80万円を贈与した場合には、やはりAさんが1年で貰い受ける総額は基礎控除枠を超える160万円になるので、Aさんには贈与税がかかることになります。

贈与税の配偶者控除の非課税枠

通称「おしどり贈与」の名でも知られる贈与税の配偶者控除は夫婦間で行われた居住用不動産の贈与、又は居住用不動産の取得資金の贈与について、基礎控除枠とは別に2,000万円まで認められる控除枠です。

この控除枠の適用は同じ配偶者からは一生に一度しか受けることができません。

また以下に掲げる一定の要件を満たす必要があります。

  • 婚姻期間が20年を経過していること
  • 贈与された不動産が国内不動産であり自分が住むためのものであること、金銭である場合は自分が住むための不動産を購入するためのものであること。
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与を受けた者が住んでおり、その後も引き続き住み続ける見込みであること

金銭で贈与を受けた場合はそのままの金額で評価しますが、不動産の形で贈与を受けた場合、その評価は相続税評価額として評価されます。

そのため通常は金員での評価よりも小さく評価されるので有利になります。

この控除枠の適用を受けるには贈与税の申告が必要です。


ここまでは贈与税の基礎控除配偶者控除について説明をしました。このほかにも基本を押さえておきたい控除の制度があります。ここからは「教育資金贈与」と「相続時精算課税制度」について解説いたします。

教育資金の一括贈与の非課税枠

この制度は一定の条件のもと、子や孫など直系卑属に対してなされた教育資金の贈与につき1,500万円までを非課税にするものです。

この制度を使うには信託会社となる金融機関と教育資金管理契約を結ぶ必要があります。専用の口座を開設し、教育資金として使った費用の領収書を金融機関に提出しなければなりません。

また贈与を受けた者が30歳に達した時点で贈与財産が残っている場合には、当該財産に贈与税が課税されます。

それまでに使い切れていれば贈与税はかかりません。

この制度の適用を考えるにあたっては、運用実務にかなりの手間がかかることと、必要に応じて都度なされる教育資金の贈与はそもそも非課税である点の考慮が必要です。

あくまでまとまった額を一括して贈与できること、その生前贈与によって相続税の負担が減らなければ本制度を使う意味はあまりないので、利用については良く考える必要があります。

この制度の適用を受けられるのは今のところ平成31年3月31日までとなっています。

※こちらの記事でより詳しく解説しています → 「教育資金贈与」の基本~要点とメリット・デメリット

相続時精算課税制度の非課税枠

この制度は一定条件のもと、60歳以上の父母又は祖父母から、推定相続人となる20歳以上の子、又は孫に対してされた贈与につき、2,500万円までは贈与税がかからないとするものです。

ただしこの制度は相続税と連動しており、贈与者が死亡した際には相続税の計算の際、相続財産に贈与財産の額(贈与時の時価)が加算されて計算されることになります。

相続時の相続財産が少なければ贈与財産が加味されても相続税負担が大きくならないこともありますが、相続財産の額が大きい場合はあまり大きな節税効果にならないこともあります。

もう一つの問題点が、この制度の適用を受けると基礎控除枠を使える暦年課税制度に戻すことができなくなることです。

暦年課税制度と相続時精算課税制度のどちらか一方しか選択できないことと、贈与と相続という二つの視点で損得を考える必要があり、その選択判断は容易ではありません。

税理士などと相談して綿密なシミュレーションが必要です。

※こちらの記事でより詳しく解説しています → 相続対策を考えている方は必見。相続時精算課税制度とは?


教育資金贈与」と「相続時精算課税制度」について解説をしましたが、いずれの制度も慎重に選択を判断する必要がありますので事前のシミュレーションや税額試算が重要になりそうですね。

さて、ここからは贈与税の非課税枠の「住宅取得等資金贈与」、「結婚・子育て資金贈与」について見ていきます。

住宅取得等資金贈与の非課税枠

平成33年12月31日までの間に親など直系尊属からの贈与によって自己の居住用不動産の購入資金(増改築を含む)の贈与を受けた場合、一定要件の元で最高で5,500万円までの贈与税の非課税枠が利用できます。

上記の額はあくまで最高値であり、この制度で実際に利用できる非課税枠は住宅の購入等の契約が締結される時期、契約時に適用される税率(8%か10%か)、住宅が省エネ等住宅であるか否かなど複数の要素が絡んできます。

さらに本制度と併用が可能な制度が二つあり、暦年課税制度における非課税枠(年間110万円)、もしくは相続時精算課税制度(2,500万円)のどちらと併用するかによっても変わってきます。

上で記した最高5,500万円という数字は対象となる不動産が平成31年4月~平成32年3月までに消費税10%の計算で締結された契約で省エネ等住宅に該当するものであり、さらに相続時精算課税制度の2,500万円の非課税枠と合算した数字です。

本制度の適用を受けるには細かい要件を満たす必要があるので、必要に応じて税理士等に確認してください。

結婚・子育て資金贈与の非課税枠

これは教育資金の一括贈与時の非課税制度と同じく、若い世代への財産移転を促すために創設されたもので、親など直系尊属から子や孫など直系卑属20歳以上50歳未満の者に限る)に対して結婚資金や子育て資金としてなされた贈与につき、最高で1,000万円(結婚資金については300万円)までを非課税とすることができます。

信託会社となる金融機関と別途「結婚・子育て資金管理契約」を締結する必要があり、契約締結時点で直系卑属は上記に記した年齢でなければなりません。

こちらの制度も、結婚や子育てに必要な資金は都度贈与する形であればそもそも非課税であること、資金の使途を証明するために領収証などの管理が必要になることの他、受贈者が50歳に達した時点でなお贈与財産が残っている場合には贈与税が課税されてしまうこと、受贈者が50歳に達する前でも贈与者が死亡してしまうと残っている残余財産に相続税が課税されてしまうことなど、扱いにくい性質が見られるので適用を受けるか否かについてはよく考える必要があります。

この制度の適用を受けられるのは今のところ平成31年3月31日までとなっています。

まとめ

3回にわたって、贈与税に関連する各制度の非課税枠について見てきました。

既存の暦年贈与による非課税枠(年間110万円)を有効利用することが基本的な節税手段となりますが、実際の利用には落とし穴もあるので税理士等と連携して上手く進める必要があります。

また贈与税は実質的に相続税と連動しており、単独ではなく相続と合わせて考える必要があります。

今回紹介してきた非課税枠の中にも、生前贈与により相続時の相続財産を減らして節税効果を得られなければ活用する意味があまりないものもあります。

またそれぞれの個別のケースで目的とする制度を利用するとどんなメリットが得られるのか、そのメリットを得る代わりにどんなリスクを負う可能性があるのかも検討・比較してみることが大切です。

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