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コラム

相続に関する期限や時効のまとめ

2017.9.6
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家族が亡くなることは、残された親族にとって辛い出来事です。
しかし家族には悲しんでいる暇などありません。「お通夜」や「お葬式」の準備、「役所への届け出」などやることが一杯。そして忘れてはいけないのが、「相続」の準備です。実は相続には様々なルールがあり、後回しにしていると申告期限が過ぎて問題になることがあります。

つい後回しにしてしまう相続の期限やルールについて考えてみましょう。

相続の基本的な規定とは

相続とは「亡くなった人(被相続人)の資産(遺産)を、家族などの相続人が受け継ぐ(継承)すること」で、例えばお父さんが亡くなった際に、お父さん名義の自宅や預金を、お母さんや子供達が受け継ぐ行為です。

相続人は民法で規定されており、「配偶者及び一定の血族」に限られています。配偶者以外では優先順位が高い人が、法定相続人になることができます。

法定相続人

常に相続人になる人:配偶者

第1順位:子供

第2順位:両親

第3順位:兄弟、姉妹

など

相続を行うには様々な規定があり、相続人に該当する人は法律に沿って実行しなくてはいけません。

相続で借金を背負うこともある

法律上の義務はありませんが、相続が発生したら財産目録を作成し、相続財産に何があるのかを把握しておくと、その後の相続手続きがスムーズになります。

さて、財産目録を作ってみると、相続対象には「プラスの財産」と「マイナスの財産」があることがわかると思います。プラスの財産とは「現金」「預金」「借金のない不動産」であり、マイナスの財産は銀行やローン会社への「借金」などが該当します。

「財産」というとプラスの財産をイメージしがちですが、相続はこのプラスの財産、マイナスの財産共に行われなくてはならず、下手をすると相続することで多額の借金を背負うことにもなるのです。

そこで相続するにはプラスの財産とマイナスの財産を差し引きして、実際の相続財産を見極めることが重要です。

例えば銀行に2000万円の預金があり、住宅ローンが1000万円残っている被相続人では、差し引き1000万円のプラスの財産が残るので、相続を行っても問題はありません。しかし、預金が500万円しかなく、住宅ローンが2000万円残っている被相続人では、1500万円のマイナスの財産となり、相続することで1500万円の借金を受け継がなくてはいけません。


相続人、相続財産が確定すると、相続手続きの次のステップ、遺産分割に進むことができます。

相続人、相続財産が確定すると、引き続いて遺産分割について考えねばなりません。ここからは遺産分割に関連する、期限や時効について確認をしていきましょう。

遺産分割請求権は時効のない相続権

被相続人が亡くなった場合、特に遺言書がないケースでは法定相続人が話し合いで遺産を分割する必要があります。「遺産分割請求権」とは、法定相続人遺産を公平に相続する権利であり、一定の兄弟が話し合いもなく不公平な相続を行った場合、後からでも支払いを請求する権利があります(時効はない)。

遺産分割請求権の注意ポイント

相続の内容を話し合うためには、遺産を正確に知る必要があります。特に法定相続人であっても、同居していない兄弟などは親の資産を知らないことがあります。まずは相続財産の全てを教えて貰うようにしましょう。遺産分割請求権には時効がないため、一旦は長男が全てを相続してから時間をかけて協議することも可能です。

「いらない」だけでは効力が発生しない相続放棄

配偶者や親の相続をすることで、多額の借金を背負うことになる…そのような事態を回避するために民法では、相続を辞退する「相続放棄(そうぞくほうき)」規定が定められています。

相続放棄を行うと法定相続人であっても「はじめから相続人とならなかったもの」とされて、相続の権利を失うことになります。つまり被相続人の相続財産がマイナスの財産であっても、それを相続する必要がなくなるのです。ただし、預金500万円、住宅ローン2000万円が残っているケースで相続放棄を行うと、預金500万円、不動産など全ての相続財産を放棄することになります。

相続放棄の注意したいポイント

相続放棄は他の相続人に宣言したり、遺産分割協議書に署名したりするだけでは効力はありません。相続放棄を行うためには「相続の開始を知った日(多くは被相続人が亡くなった日)から3ヶ月以内に家庭裁判所申し出る」必要があります。

兄弟間で相続を話し合う場面において、兄の作った相続放棄の書類に押印することで、 相続放棄したつもりになっていても、法的には何ら効力のあるものではなかった、というトラブルが発生するケースがあります。特に相続財産がマイナスの場合には3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行わないと、そのまま借金を背負うことになるので注意しましょう。

また相続権は「代襲相続」制度により、法定相続人先に亡くなっているケース被相続人の子供が親より先に死亡している)では、その子(孫)に相続権が移行します。しかし、相続放棄を行った場合では代襲相続認められないことを覚えておいて下さい。

相続財産を限定して相続する限定承認

原則として相続は相続放棄を行わない限り、全ての資産を相続しなくてはいけません。相続を受け入れる行為を「承認」と呼びますが、承認には相続財産の全てを受け入れる単純承認」と、一定の資産についてのみ受け入れる限定承認」があります。

限定承認の注意したいポイント

限定承認とは「相続財産のプラスの範囲内でマイナスの財産を受け入れる」相続方法で、マイナスの財産が明らかに多い場合や、借金などのマイナスの財産が不明確な場合に利用されます。

プラスの財産として預金が500万円あり、借金(マイナスの財産)が2000万円のケースでは、500万円分の借金のみを承認することになります。
例えば1000万円の借金を残して父親が亡くなり、プラスの財産は古い自宅だけの場合、限定承認を行うことで古い自宅の評価額(300万円)のみ承認し、息子が300万円を債権者へ支払うことで実家を守ることができます。相続的には有利な制度だと言えます。

ただし限定承認を行うためには「相続の開始を知った日(多くは被相続人が亡くなった日)から3ヶ月以内に家庭裁判所申し出る」必要があります。

また相続放棄と違い相続人全員で手続きを行う必要があります。相続人の一人でも合意しない場合は、限定承認ができないので注意して下さい(相続放棄した相続人は含まない)。


相続税の申告・納税に至るまでの過程においても、いくつもの期限や時効が存在していることがわかったかと思います。これらの期限や時効を把握して諸手続きを進めて行かないと、相続トラブルに繋がってしまう可能性が高くなります。

さて、ここからは相続税の申告と納税に関する期限や時効について詳しく解説します。

ここまで見てきたとおり、相続人と相続財産が確定し、遺産分割が無事に完了するといよいよ相続税を申告して納税しなければなりません。相続税の申告期限を守れなかった場合、ペナルティが生じてしまいます。

忘れがちな相続税の申告と納税

相続税とは「相続人が相続によって財産を取得した際に支払う税金」です。

相続税の申告や納付においての注意ポイント

相続税には「基礎控除」が定められており、相続財産がそれ以下のケースでは申告も納税も必要ありません(相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数)。

相続財産が基礎控除額を超える場合には、「相続の開始を知った日(多くは被相続人が亡くなった日)から10ヶ月以内に税務署に申告」することになります。

相続税の納付は一括支払いが原則で、相続人の一人が支払わないと他の相続人で連帯して支払う義務が生じるので注意が必要して下さい。また、納税が遅れた場合には「延滞税」、少なく申告した場合には「過少申告加算税」、申告を忘れていた場合には「無申告加算税」、財産を隠すなど虚偽の内容で申告した場合には「重加算税」などのペナルティがあります。相続税の申告は期限内に正しく行うことが大切です。

遺言があっても遺留分減殺請求権で法定相続人は守られている

民法では遺言書に「全ての財産は友人であるAさんに渡すこと」と記載されていた場合であっても、法定相続人被相続人の兄弟姉妹を除く)に対して、「遺留分」と呼ばれる相続分を認めています。つまり、遺言書で「全ての財産」と書かれていても、その中の一定部分法定相続人が相続することができます。そしてその権利が「遺留分減殺請求権」です。

遺留分減殺請求権の注意ポイント

遺言で相続人を指定している場合、その相続人に対して遺留分の支払いを請求します。

請求には「話し合いによる合意」が理想ですが、合意できない場合には家庭裁判所での「遺留分減殺における物品返還調停」を行います。これはあくまで調停なので、家庭裁判所で行う話し合いだと思って下さい。さらに合意できない場合には、訴訟に進むことになります。遺留分法律で守られているので、冷静に話し合うことが大切なポイントです。

真の相続人が相続を回復する相続回復請求権

親子関係がないのに親子と称して、遺産を相続している人(表見相続人)がいるとします。

例えば共同生活を行っている場合で、自宅の所有者が亡くなった際に相続人と称して不動産を相続した場合です。そのような時には実子など正当な法定相続人(真正相続人)が、相続権を回復しなくてはいけません。その権利が「相続回復請求権」です。

相続回復請求権の注意ポイント

本来の正当な相続人が権利を回復するのは当たり前ですが、注意ポイントとして相続回復請求権には時効が存在します。

時効は「表見相続人が相続を行ったことを真正相続人が知った日から5年」であり、それまでに行使しなくては時効が成立し、相続回復請求権が消滅します。またその真正相続人がその事実を知らなくても、20年経過すれば時効が成立します。

相続回復請求権の履行も遺留分減殺請求権と同様に、「話し合い」「調停」「訴訟」と段階を踏んで解決します。

相続でのトラブルが急増している

近年、相続でのトラブルが増加しています。相続トラブルは遺産の大小ではなく、様々な権利関係の侵害によって生まれることが多いのです。また相続には民法による規定や、税法による規定などが複雑に絡みあって、解りにくいのもトラブルの原因になっています。相続を行う際には法律や税務の専門家と相談して進めることが良いでしょう。

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