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コラム

相続を「したことにされる」!?~法定単純承認について(3)

2016.11.28
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前回の記事では「財産の処分」と「熟慮期間」について解説しました。本記事では「相続財産の隠ぺい、消費について」について詳しく解説します。

※「法定単純承認(ほうていたんじゅんしょうにん)」とは

法定単純承認とは、民法第921条に定められている制度で、次に掲げる事由に該当する場合に、相続人は、単純承認をしたものとみなされます。

1.相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条(短期賃貸)に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

2.相続人が第915条第1項の期間(熟慮期間)内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

3.相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

相続財産の隠ぺい、消費について ※民法921条3号

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たとえ相続人が限定承認又は相続放棄をしていたとしても、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、私にこれを消費したときは、法定単純承認に該当し相続を承認したものとみなされます。

例えば、被相続人に多額の借金があった場合を考えてみましょう。

被相続人の財産を確認してプラス財産よりマイナス財産の方が多かった場合、相続人は限定承認をするか、相続放棄をしたいと思うはずです。そして、予定通り限定承認又は相続放棄をした元相続人が、実は被相続人の預金等を隠し持っていて、自分のためにその預金等を使ってしまった場合等は法定単純承認に該当してしまいます。そうなると、限定承認又は相続放棄をしたはずのその相続人は単純承認をしたことになるので、被相続人の借金等を請求される可能性が生じてしまうことになり注意が必要です。

また、相続財産目録被相続人の財産の全て若しくは一部をわざと記載しなかったときも法定単純承認に該当します。

一般的に、悪意とは、自分の行為が法律上の効果を生じることを知ったうえで、その行為をしようとする意思をいいます。そして、相続財産目録に記載しなかったときにおける悪意には、「相続債権者を害する意思で」という意味が含まれます。

要は、過失等で書き忘れてしまった場合等、積極的に相続債権者を害する意思が無いと認められる場合は、法定単純承認事由に当たりません。

隠匿後の消費又は悪意による不記載といった行為は、相続債権者に対する重大な背信行為です。そもそも限定承認又は相続放棄の趣旨は、相続債権者よりも相続人の権利を保護することにあります。

従って、上記のような背信行為を行う者の権利まで保護する必要はないため、背信行為を行った者については限定承認又は相続放棄を認めず、法定単純承認に該当することとなっています。

ただし、上記の行為をした場合であっても、先順位である相続人が相続放棄をしたことにより、新たに相続人となった後順位の相続人が相続を承認した後であれば、先順位である相続人は単純承認をしたとはみなされません。

なぜなら、後順位の相続人が相続を承認したことにより、その相続における相続人は後順位である相続人に確定しているからです。

まとめ

限定承認相続放棄は、相続人に認められた「選択する権利」ですが、本記事で紹介したようなルールを知らないとせっかくの権利を行使することができなくなってしまいます。限定承認相続放棄を検討する場合は、通常の相続時以上に、慎重に相続手続きを進める必要があります。相続に詳しい専門家などに相談しながら、ひとつずつ手続きを進めていくのがよいでしょう。

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