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コラム

相続を「したことにされる」!?~法定単純承認について(2)

2016.11.24
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前回の記事では、相続人は「限定承認」、「相続放棄」が選択できること、また、「法定単純承認」というルールがあることを解説しました。

今回の記事では、民法に定められている「法定単純承認」に関するキーワードを詳しく解説します。

※「法定単純承認(ほうていたんじゅんしょうにん)」とは

法定単純承認とは、民法第921条に定められている制度で、次に掲げる事由に該当する場合に、相続人は、単純承認をしたものとみなされます。

1.相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条(短期賃貸)に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

2.相続人が第915条第1項の期間(熟慮期間)内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

3.相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

「財産の処分」とは? ※民法921条1号

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相続財産の全部又は一部を処分するということは、相続財産を自分のものとして取り扱う意思があるものと取り扱われるため、法定単純承認に該当し相続を承認したものとみなされます。

相続財産の処分とは、財産の現状又は性質を変更したり、法律上の財産権を変動させたりする行為をいいます。例えば、相続の開始を知った上で、相続財産である不動産等を売却する行為等が該当します。また、不動産等を売却する行為だけでなく、相続財産である家屋等を取り壊した場合等も処分行為に含まれます。

一方で、相続財産の価値を現状のまま維持するために必要な保存行為や相続財産を無償で貸与した場合等は処分行為に当たらず、法定単純承認には該当しません。

例えば、一般常識の範囲内である葬式費用を遺産から支出する行為や軽微な形見分け、支払期限が到来した被相続人の借金等を弁済する行為等は、法定単純承認事由に該当しません。ただし、遺品の全てを持ち帰るような場合等、常識の範囲内である軽微な形見分けとはいえない場合には、隠匿に当たるとして法定単純承認事由になることもあるため注意しておきましょう。

「熟慮期間」経過とは? ※民法921条2号

熟慮期間とは、相続人が相続をするかしないかについて決定するための期間をいいます。

具体的には、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月とされています。この期間を過ぎると、相続人の意思に関わらず相続を承認したものとみなされます。すなわち、熟慮期間中に限定承認又は相続放棄をしなければ、法定単純承認に該当し相続を承認したものとみなされます。従って、相続人限定承認又は相続放棄の手続を行いたい場合には、熟慮期間が経過する前に手続きをしなければいけないため注意が必要です。

ちなみに、自己のために相続の開始があったことを知った時というのは「相続開始の原因である事実」と「自分が法律上の相続人となった事実」の両方を知った時とされています。従って、どちらか一方の事実を知らない期間に熟慮期間がスタートすることはありません。そのため、後順位の相続人は、被相続人が死亡したことを知った上で、先順位の相続人相続放棄をした事実を知った日から熟慮期間がスタートすることになります。

また、借金等があるかどうかを調査中であるというようなケースにおいて、家庭裁判所に申述をすれば、熟慮期間を延期することができます。

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ここまで「財産の処分」と「熟慮期間」について解説してきました。次回の記事では「相続財産の隠ぺい、消費について」について詳しく見ていきます。

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