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コラム

予備的遺言~遺言者より先に受遺者(じゅいしゃ)が死亡した場合に備えて(1)

2016.7.19
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遺言を作成するときには、もちろん遺言を作成する人より相続人のほうが長く生きていくことを想定して、遺言を作成します。

しかし、突発的な出来事で遺言者より受遺者(じゅいしゃ)のほうが早く死亡してしまう場合や、高齢化社会になり受遺者自体も高齢で受遺者のほうが早く死亡してしまう場合もあります。そのような事態にはならないほうが良いのですが、いざというときのために備えるのが相続対策です。

遺言者より先に受遺者が死亡した場合に備えて、予備的遺言という制度があります。今回は予備的遺言について解説していきたいと思います。

予備的遺言とは

予備的遺言1

遺言書は、自分が死亡したときに備えてあらかじめ書いておくものですので、遺言書が書かれてから執行されるまでにはタイムラグがあります。

その間に、受遺者が死亡するなどの事態が発生したときに備えて、遺言書の中にさらに次の受遺者などを指定していく方法です。

遺言者より先に受遺者が死亡して遺言書がない場合

遺言書受遺者が指定されており、遺言者より先に受遺者が死亡した場合には、その遺言で指定された受遺者の部分については遺贈の効力は生じません。

つまり、受遺者が受ける予定だった財産については相続人に帰属することになるので、通常の遺言書がなかったときのように、法定相続人全員に遺産分割協議によって、どのように財産を相続するかを決定します。

相続では、相続が発生する前に相続人が死亡していたり、相続人が相続権が失ったときには、その子供や孫が相続人になります。これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。

しかし、遺言書受遺者が指定されている場合には、その受遺者については代襲相続という制度がありません

したがって遺言書遺贈が効力を失ってしまうと、その遺言書遺贈されるはずだった財産は、もともとの遺贈者の相続人のものとなるので、法定相続人全員の遺産分割協議でどのように相続をするのかを決定することになるのです。

判例では?

最高裁判所の判例でも、長男に全財産を相続させるという遺言があり、被相続人の死亡前に長男が死亡した場合に、全財産を長男の子に代襲相続できるかどうかということが争われましたが、遺言で代襲相続されるという意思がなければ、法定相続分以外の代襲相続は認められないという趣旨の判決が出されました。

※参考リンク:遺言での相続で代襲相続が認められない最高裁判決

この場合、もし長男が生きていれば遺言により相続できたはずの財産は、長男の子は相続することができません。

しかし、もともとの相続権がありますので、遺産分割協議に参加してそこで決まった財産を相続することはできます。もし遺言書で、長男が死亡した場合には長男の子に相続させるということが書いてあれば、長男が遺言書で相続できた財産は、そのまま長男の子が相続できたということになりますね。

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ここまでで、受遺者が先に亡くなってしまう可能性を考慮しての相続対策の重要性が理解できたかと思います。次回の記事では、具体的にどのような方法で相続対策を進めていくかをご紹介します。

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