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コラム

限定承認(2)~メリットとデメリット

2016.6.1
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限定承認~相続の方法は、相続の承認か放棄だけではない!?」で解説したように、限定承認は、相続の方法としてとても便利な方法です。

しかし、実際には「限定承認」が利用されるケースは少なく、ほとんどの場合で単純承認相続放棄という方法が利用されています。

今回は、限定承認のメリットとデメリットを解説し、限定承認を利用する場合に気をつけることについてまとめました。

限定承認のメリット

限定承認2

限定承認は、相続の方法として、プラスの財産の範囲内だけで相続財産を相続する方法です。

限定承認のメリットとしては、以下のものがあげられます。

(1)プラスの相続財産だけを引き継ぐことができる。

通常、相続ではプラスの財産が借金などのマイナスの財産より多ければ、相続をそのまま承認して(単純承認)、残った財産を遺産分割します。

しかし、マイナスの財産のほうが多い場合には、借金の返済をしなければならなくなってしまうので、相続放棄の手続きを行い、プラスの財産もマイナスの財産も引き継がないという方法がとられます。

この相続放棄は、相続の開始から3か月以内に家庭裁判所で手続きをしなければならず、相続財産がプラスになるのかマイナスになるのか分からないような場合には、プラスの財産の範囲内で引き継ぐ限定承認という方法が便利なのです。

(2)特定の財産だけを引き継ぐことができる。

マイナスの相続財産が多い場合で自宅が相続財産に含まれている場合、相続放棄をすると、その自宅財産の相続権も失ってしまいます。

このような場合には、限定承認の「先買権」という制度を利用して、自宅の価額を支払うことで自宅を確保できるといったように、特定の財産け引き継ぎたい場合にも便利です。

(3)少ない人数の手続きで相続を終わらせることができる。

マイナスの財産が多い場合に利用される相続放棄ですが、相続放棄をすると次の相続人に相続権がうつってしまうため、その相続人も相続放棄の手続きをしなければなりません。借金が多いことを多くの人に知らせずに終わらせたい場合にも、限定承認の方法がとられることがあります。

限定承認のデメリット

限定承認は、プラスの財産があった場合だけ相続するという便利な方法ですが、以下のようなデメリットがあり、実際には利用されるケースが少ないのです。

(1)限定承認は、相続人全員で行わなければならない。

相続人が複数いる場合には、全員で手続きを行わなければならない限定承認は、相続人のうちの1人でも、単純承認をしたいと思っている場合には、利用することができません。

ただし、相続人のうちの1人が相続放棄をしたときには、その人ははじめから相続人でなかったとみなされるため、残りの相続人で限定承認の手続きをすることができます。

(2)限定承認の手続きは3か月以内にしなければならない。

限定承認の手続きは、相続人が開始してから3ヶ月以内に、家庭裁判所に申し立てをして行わなければならず、3か月をすぎると単純承認したものとみなされてしまいます。

これは相続放棄の手続きでも同じですが、相続放棄は各相続人ごとで手続きができるために、限定承認より手続きがしやすくなっています。

(3)みなし譲渡所得税が発生する。

限定承認をした場合には、相続開始の日にすべての資産を相続人に時価で譲渡されたとみなされるため、譲渡所得税が課されます。この譲渡所得税は被相続人の債務になるので、相続税の計算をするときに債務として控除することになります。

とくに相続財産の中に不動産がある場合には、不動産の値上がり益があるために注意が必要です。

(4)手続きが複雑で大変。

限定承認は、単純承認相続放棄とくらべて、手続きが複雑で大変です。

財産の調査からはじまり、共同相続人全員と連絡して協力し、家庭裁判所に申述をしなければなりません。家庭裁判所で受理されたあとも、官報への公告や相続財産の管理・換価などを行い、残余財産があれば遺産分割するといったように、手間もかかります。

限定承認のまとめ

限定承認という相続の方法は、手続きが大変な方法ではありますが、プラスの財産だけ引き継ぐことのできる魅力的な方法です。

相続はそれぞれの状況に応じてさまざまなケースがあり、同じ方法でも手続きが異なってくる場合があります。なにかとトラブルの多い相続ですが、事前に信頼できる相続の専門家に相談し、財産や相続人の状況を検討しながら計画的にすすめることが、トラブルなく相続手続きをすることにつながっていきます。

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