相続・遺言のすべてを分かりやすく。
コラム

失踪宣告と認定死亡~相続開始の例外規定について(1)

2016.9.26
文字サイズ:

相続は被相続人の死亡により「相続開始」となります。

しかし、事故や災害などの原因により、生死が不明となったり、遺体が発見できないため死亡を立証することが不能となったりすることがあります。そのような場合被相続人「死亡したものとみなす」、もしくは「死亡したこととする」ことで相続開始、とする制度があります。今回の記事で紹介する「失踪宣告」や「認定死亡」という制度のことです。

「失踪宣告」について

%e4%be%8b%e5%a4%96%e8%a6%8f%e5%ae%9a%ef%bc%91

失踪宣告とは、不在者(従来の住所又は居所を去り,容易に戻る見込みのない者)につき、一定期間生死が不明となっている場合に、法律上死亡したものとみなす効果を発生させる制度です。

家庭裁判所は申立てにより失踪宣告をすることができ、失踪宣告には普通失踪と特別失踪の二種類があります。

普通失踪

普通失踪とは、理由の如何を問わず、ある人の生死が7年間不明である場合に適用されるものを言います。

普通失踪の場合には,利害関係人が家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることで、期間満了時(消息を絶ってから7年が経過した時点)から失踪宣告の効果が生ずることになり、失踪者は死亡したものとみなされます。失踪者が死亡したものとみなされることで、相続等の各種手続を行うことが可能になっていきます。

※ 普通失踪の場合、失踪宣告の効果が生じるのは期間満了時であり、失踪宣告の審判が確定した日ではないことに注意しましょう。

特別失踪

特別失踪(危難失踪ともいう)とは、戦争・船舶の沈没・震災等、死亡の原因となる危難に遭遇しその危難が去った後その生死が1年間不明である場合に適用されるものを言います。

特別失踪の場合も普通失踪の場合と同様、利害関係人が家庭裁判所に失踪宣告の申立てをする必要があります。そして、特別失踪の場合は、危難が去った時に失踪宣告の効果が生ずることになり、失踪者は死亡したものとみなされます。

失踪宣告の取消

失踪宣告の効果は失踪者が死亡したものと「みなす」ものであり、認定死亡制度の場合の「推定」規定とは異なります。

従って、万が一、失踪者が生きていた場合等には、単純に生きていたことを証明するだけでは失踪宣告を覆すことはできません。そのような場合には、本人又は利害関係人が家庭裁判所に対して失踪宣告の取消を請求し、その決定を受ける必要があります。

失踪宣告の取消ができる場合には、次の様な場合があります。

① 失踪者が生存することの証明があったとき

② 失踪宣告によって死亡したものとみなされた時と異なる時に死亡したことの証明があったとき

失踪宣告が取り消された場合には、原則として、従来の法律関係が復活します。すなわち、失踪宣告によって開始された相続等が、そもそもなかったものとなるのです。

ただし、失踪宣告が取り消された場合であっても、相続等で何らかの利益を得た者は、その得た利益全てを返還する必要はなく、「現に利益を受けている限度」のみを返還すればよいとされています。

これは、例えば、相続で1億円を得た者がその1億円を全て使い切って手元に1円も無くなってしまっていたら、返還しようにも返還できないということが起こり得るからです。従って、得た利益(ここでは1億円)が手元に残っている場合(現金としてだけではなく、建物や土地等の物として残っている場合を含む)には、それを限度に変換する必要があります。

また、失踪宣告後に再婚した場合において、後婚(再婚)夫妻の双方が失踪者の生存を知らなかったときは、失踪宣告が取り消された後においても、前婚は復活しないこととされています。

ちなみに、知っていたかどうかを要求せず、後婚を優先させるという学説もあります。これには、現在の当事者同士の意思を尊重させたいという意味がある様です。

次回の記事では「認定死亡」について詳しく解説します。

facebook発信中

相続のバイブルはfacebookページでも、見逃せない相続情報、ぜひ活用したいと評判のセミナー情報などを発信しています。
SNSのみの事例紹介やご相談も発信中。フォローお待ちしています。

相続のバイブルfacebookページ